高等部2年になる、『T』くんは、再来年の卒業後には、コレスペで活動したいと希望されているようです。
ですが、コレスペで何を?と聞いても、どこか不安げな様子。。詳しくお話を聞いてみても。。
「う。。。ん。わか。。。らない。。」
どうやら、学校を卒業しても、家に帰っても、やることがないからと理由で、継続して病院を医療が得られる生活圏と考えたようです。しかし、「選択肢といっても、コレスペしかないし。。」と答える彼。
コレスペで仕事ができるといったイメージのみは持ち合わせているようですが、それ以上なにを具体的にしたらよいのかはわからないようでした。
確かに、高校2年生といえば、私たちでも、進路といわれても悩むものです。みなさんはどう考えますか?
彼らには決してチャンスは多くありませんし、選べるだけのチャンスは実はないのかもしれません。かえって、自分でチャンスを作っていかなくてはならいのが現状です。
当てはまるだけのものが、ないのなら、自分に在ったものを作ってみよう。
これが、コレスペの活動そのものなのです。
彼とは、問題点をもう少し明確になるような話をしていきました。
生活マップってつくってみたことある?
こうしてみると、自分の一日が見渡せるよねー。
さて、この一つ一つを3つのカテゴリに分けられるんだよ。
1.セルフケア(身辺処理) (緑色)
2.趣味余暇活動(個人に帰結) (青色)
3.生産的な活動(役割:他者とのつながり・学生・職業人・専業主婦など) (赤色)
セルフケアは、人が生きていく上で欠かせないものだよね。趣味や役割というのは、それがなくても生きること(生存)はできるけど、「社会的な存在」として生きていくには、学生や職業人といった、他の人と交わりながら自分の存在を確認できる役割が必要なんだよ。
どう?こうしてみると、Tくんの今は、結構バランスよく過ごしているように見えるよね?
マズローの5段階欲求仮説ってあるんだけど知ってる?
住む場所や、食べること、寝ること、安全が保証されて初めて、集団の中にいたい、尊重されたい、自分の能力を発揮したいと、人は望むのではないかとの説なんだよね。
それでいくと、セルフケアっていうのは、生理的・安全の欲求。学生であるTくんの今は、自己実現への向上的欲求となる。つまり、学生としての生産的活動で、今は満たされているということになるんだよ。
今、土日はどうしているの?
これでいうと、ほとんど、生産的な活動、すなわち、役割がなくなっちゃうよね。
「あー。バランスが悪い」
そうだね。卒業後は、学生という役割がなくなってしまうこと。毎日が土日になることを想像できる?
役割というのは、他者との結びつき。介護者からの身辺処理の介助や、リハビリでは、患者の役割のみになってしまう。やはり、人は、社会的な存在。安心・安全が保証されたら、次は、社会的な欲求を望むと思うんだ。
そこで、コレスペでは、自分の役割を得られる支援をしているんだよ。
今は、どんなことをしているの?
「イラストレーターの勉強をしている」
なんで?興味をもったの?
「うーーん。以前、弟が音楽の時間で「ヨナレモン」のことを言っていて、おもしろいと思って、それでぼくがイメージを形にした」
そうだね。おもしろいと思ったものが興味につながっていくんだよね。
絵を描く仕事には、3つ在って、
・デザイン
・アート
・イラスト
って聞いたことがあるんだ。
デザインは、クライアント(発注者)からのイメージを形にしていく仕事。また、アートは、描き手の個性をそのまま、お客さんに買ってもらう仕事。イラストは、その両者なんだ。
デザインやイラストは、知的な作業なんだよね。もしこれから、その方面で興味をもったなら、言葉のイメージを形にする練習をしてもよいかもね。
さて、前回、この図を説明したよね。
今は、やってみたいことが、イラストで、できるように練習している。でもねー。やはり、求めてくれる人がいないと、つながりが生まれない。
この3つの円を交わるように、手助けする支援が、コレスペなんだ。
さて、ここで質問!
仕事には、競争就労と、保護的就労があるんだ。
競争就労とは、いわゆる、会社につとめる働き方。
デザイン会社に勤めようとは思わないの?
「無理だから・・・」
なんで?
「???」
あきらめたから?
「いや。違う。。」
じゃー、スキルが低いから?
「うーーん。そうかも。」
でも、スキルは伸ばせばいいよねー。
では、今日はここまで。次回は、この続きをしてみようね。